高野豆腐

インスタント豆腐的な

高野豆腐(こうやどうふ)は、豆腐を凍結乾燥させた保存食です。乾燥状態では軽く締まったスポンジ状で、とても豆腐とは思えない程軽くなります。カッサカサです。これを水で戻し、だし汁で煮込むなどして味を付けていただきます。この高野豆腐、実は冬場に豆腐をうっかり屋外に放置してしまったことで偶然に製法が発見されたと言われています。ナイスうっかりです!俗に高野山で製造される凍り豆腐(こおりどうふ)が、精進料理の1つとして全国に広まったものとされるが、実際には、東北地方にも凍み豆腐(しみどうふ)と呼ばれる同じ製法の保存食があり、こちらは戦国大名伊達政宗が、兵糧研究の末に開発したという伝説がある。中国にも同様の食品があるので中国から伝来した可能性も高い。寒さの厳しい地方では、場所に限らず偶然の産物として発見され、普遍的に生産されてきた食品であると思われます。うっかり豆腐を凍らせてしまうのは寒い地域あるあるだったみたいですね。

そのうっかり凍らせた豆腐が高野豆腐と呼ばれるに至ったのは、江戸時代において高野山の土産物として珍重されたからとも言われています。江戸時代においては最も流通した物がその販売地、販売者の地名を冠することがあり、高野豆腐もその1つなのです。

高野豆腐の名称は現在では全国に広まっていますが、もとは関西圏で広く用いられていた名称で、甲信越地方・東北地方・北海道では凍み豆腐・凍り豆腐と呼ばれていた。甲信越・東北・北海道で作られる伝統的な製法の凍り豆腐は、藁で数個ずつ豆腐を連ねて軒先に吊るして作るので、その形から連豆腐とも呼ばれている。大阪ではちはや豆腐という呼び名もあります。古くは氷豆腐と表記されることもあったとか。日本農林規格(JAS)では、凍り豆腐が正式な名称となっています。

なお東北地方では製造途中の凍ったものを凍り豆腐として冷凍販売し、乾物の状態のものを凍み豆腐として区別して販売されているため、注意が必要です。

高野豆腐は寒冷地で発達した食品であることから、現在では長野県が日本最大の生産地でなっていて、逆に高野山近辺では現在は製造されていないそうです。

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製法

最も伝統のある製法は、硬めに水切りした豆腐を適当な大きさに切り分け、寒中の屋外に放置することです。そうする事で夜間は豆腐が凍結し、日中には溶け、夜また凍結…と冷凍・解凍を繰り返します。そうしてるうちに豆腐から水分が抜けていき、最後には乾物となる。水分が凍るとき内部に無数の氷の結晶ができ、溶ける際にその部分が小さな穴として残り、スポンジのように多孔質な高野豆腐ができあがります。これが甲信越・東北・北海道、および高野山での古い作り方とされています。

高野山でも古くはこの伝統製法で高野豆腐を作っていましたが、時代が進むに従い製法に工夫が施され独自の製法が確立されていきました。夜間に凍結した豆腐が日中に溶けてしまわないように、専用の氷室に入れて数日間熟成させ、その後に解凍し乾燥させています。乾燥法も初めは天日干しだったが、後には乾燥用の室の中で炭などを焚き強制的に乾燥させる方法が広まりました。現在は冷凍機で凍結し、乾燥機で乾燥する機械製法がほとんどです。

作っていく中で形状不良となってしまった高野豆腐は粉末にして粉豆腐と呼ばれるものにされます。この粉豆腐は長野県などでは料理に活用されています。

膨軟剤

伝統的な製法による高野豆腐はとても硬くなります。さらに水戻しには1晩かかり、柔らかく炊き上げるのは難しく、調理に手間のかかる食材となってしまいます。このため現在市販されている高野豆腐のほとんどには、水戻しの時間を短縮し、柔らかく煮あがるように以下に上げる膨軟剤と呼ばれる食品添加物が加えられています。

アンモニア

アンモニアといえば、理科の実験でお馴染みの臭いあいつです。そんなもの食品に使うなんて…と思ってしまいますが、吸水性が高いアンモニアは高野豆腐にとっていい働きをします。アンモニアの極めて吸水性が高い性質を生かす事で、高野豆腐の水戻し時間を短縮することができるのです。乾燥が終わった高野豆腐をアンモニア処理室にいれアンモニアガスを充満させます。これによりスポンジ状の高野豆腐の内部までアンモニアガスが行き渡り、アンモニアが全体に吸着したら、密封包装をして出荷します。戻し時間が短縮されるのは素晴らしいですが、このアンモニアが揮発してしまうと、その吸水効果がなくなるので、保存時は必ず密封しなくてはなりません。また、アンモニア臭を抜くためには、水ではなく熱湯で戻すことが推奨されています。さらに戻した後、何度か水を替えて完全にアンモニア臭を抜く必要があります。しかしアンモニア自体が有害であること、保存時にアンモニアが揮発すると効果がなくなることから、現在ではほとんど利用されていません。

重曹

重曹はたんぱく質を分解し食材を柔らかくする性質がありますそれを利用し、高野豆腐を柔らかくしてくれます。生の豆腐を凍結し、重曹の入った水に浸して解凍。そうして重曹のしみこんだ豆腐の水を切り乾燥させて作られます。重曹の効果によりたんぱく質の一部が破壊されているので、水戻しも早くて柔らかく煮あがります。現在市販されているものは、ほとんどが重曹処理されたものなんだそうです。こちらはアンモニア処理の高野豆腐と違い密封保存する必要性はありません。また、熱湯で戻す必要もなくてさらに扱いやすくなっています。

重曹処理された高野豆腐は伝統製法のものに比べ、硬さが1/3~1/4程度で非常に柔らかくなります。まるで別の食品といえるほど食感に違いが出ます。しかしその柔らかさから煮崩れしやすく、伝統製法の高野豆腐と同じ感覚で調理すると形が崩れてしまうおそれがあります。真水で煮ると崩れるので、組織を引き締め煮崩れを防ぐためには初めから塩分が含まれた出汁で煮るのが望ましいです。また、重曹処理された高野豆腐は炊飯器に水と一緒に入れて炊くことによって普通の豆腐に近いものを作ることができるそうです。すごい裏ワザですね!

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調理法

高野豆腐は乾物なので、調理するには水分を含ませて戻す事が必須となります。熱湯に浸して戻す湯戻しするのが一般的でしょう。ただし、近年では湯戻しを必要としないものや電子レンジで調理できるものも市販されている。便利ですね。

保存性

高野豆腐は乾物のため、生の豆腐にくらべて保存性はバツグンです。しかし保存期間が長くなると豆腐内の脂肪分が酸化してしまい、品質が劣化します。味を損なわずおいしく食べられる期間の目安は6か月以内と思っておきましょう。また、高野豆腐は小さな穴が沢山開いているので、においを吸着しやすくなっています。保存時には周りにニオイのキツイものが無いか注意が必要です。酸化防止とニオイの染み付きを防ぐために、密封容器に入れ冷暗所に保管することが望ましいです。

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