湯豆腐

冬は湯豆腐

手軽で美味しい冬の和食といえば湯豆腐ですね。豆腐がメイン、むしろ豆腐オンリーのこの鍋料理はとっても簡単につくれます。簡単なのに美味しくてほっかほかに温まるこの料理は寒い冬には最高!そんな素敵な湯豆腐の材料はなんと豆腐、水、昆布のみです。作り方は鍋に昆布を敷き豆腐を入れ、温まったところを引き揚げてつけダレでいただく。大変シンプル!つけダレ次第で味も色々です。

火にかける時は香りが飛ばないように、煮えるまで鍋を火にかけるのは避け、豆腐がぐらりとよろめく頃に食べるのがいいんです。また、醤油などで予め味付けした吸い物風のつゆで豆腐を温め、そこへ薬味を投じてそのつゆとともに食する方法もあります。そちらは「煮奴」とも呼ばれいています。こちらは豆腐オンリーの鍋のような食べ方ですね。さらに、家庭料理として豆腐と一緒にハクサイや鶏肉やしらたきや獣肉などを入れて煮る水炊きに近い調理法もあるとか。コレもう近いというか完全に水炊きでしたね。いやー水炊きも最高に美味しいと思いますよ(*´∀`) 簡単で美味しいなんて最高!

絹ごし豆腐派集まれーい!!

付けダレ色々

湯豆腐の付けダレとして最もお手軽なのは醤油です。そこに一手間加えるならば醤油・酒・みりん・出汁等を合わせたものもいいでしょう。味に深みが増します。あるいはポン酢醤油などもいいでしょう。

それから、薬味にはネギ、ユズ、大根おろし(紅葉おろし)、削り節などがよく用いられます。我が家では醤油にかつお節と刻んだネギ、もしくはなめこをたっぷり入れたタレでいただきます。そのまま豆腐に乗せて食べるも良し、タレを煮汁で伸ばしてスープ風にして食べるも良しでとっても美味しいです。

変わり種として、卵黄・ニラ・トマトなどが用いられることもあります。相撲部屋でちゃんことして食べられている湯豆腐にはつけダレに卵黄が使われるそうです。卵黄と醤油を混ぜたものをベースに長ネギ・鰹節・青海苔などの薬味を入れたものを燗酒器(相撲部屋では「カンテキ」と呼ぶ)か大きな湯呑みに入れ、それを鍋中に投じて鍋の熱で温めながらかき混ぜ、頃合となったら豆腐にかけて食するそうです。それはきっと醤油やおろしでは出せないコッテリ風味でしょうね!お腹が空いてきます。さらに具材も豆腐だけではなく肉類(鶏肉や豚肉など)や野菜やキノコなどが入る具だくさんスタイルだそうで。さすがお相撲さんです!

また、中国の中華料理ではたれにつけながら豆腐を食べることは決して多くないが、豆腐とともにモヤシや中華麺をゆでておき、好みの辛いたれにつけて食べる貴州料理の「金鈎挂玉牌」や「豆花麺」などがあります。湯豆腐と麺の夢の共演…!気になります。

トロットロ湯豆腐

普通の湯豆腐であなたは満足していますか?実は湯豆腐を楽しんでいる方にも、湯豆腐なんてどうでもいいと思ってる方にもぜひお試しいただきたい湯豆腐の作り方があるんです。通常の作り方にある材料をプラスするだけで豆腐がトロットロにとろける激うま湯豆腐に変身するのです。

その“ある材料”とはアレです。重曹です!料理に掃除に大活躍のアイツです!!この重曹湯豆腐の作り方はNHKで放送された『ためしてガッテン』で紹介され、全国の湯豆腐ファンのほっぺを落とし尽くしました。たかが湯豆腐とナメてる方は一度この作り方を試してみてください。目ん玉飛び出ますwww

なぜ重曹でとける?

とろける湯豆腐は佐賀県にある嬉野温泉の名物料理です。この嬉野温泉の温泉水を使って湯豆腐を作るととろける湯豆腐になります。しかしどこの温泉水でもいいという事ではありません。他の温泉に比べて重曹成分が特に多い嬉野温泉の水だからこそ豆腐がトロトロになるのです。

重曹(NaHCO3)は熱を加えると炭酸ナトリウム(Na2CO3)に変わります。重曹は弱アルカリ(pH8.2)ですが、炭酸ナトリウムは強アルカリ(pH11.2)です。そして豆腐はたんぱく質でできています。たんぱく質という成分はアルカリに弱いので、アルカリ質が強い水で煮ると溶けていくのです。これがトロットロ湯豆腐のメカニズムです。

作り方

作り方と言っても、いつもの湯豆腐のお湯に重曹を入れるだけです。豆腐がとろけづらくなるので昆布は入れません。重曹の量はお湯500ccに対して5g。湯の1%程です。それ以上入れると重曹のエグ味が出てきて味が悪くなりますので入れすぎ注意です。なお、重曹は必ず“食用”のものを使用してください。重曹には食用の他にも掃除用、工業用など色々あります。パッケージに何も記載されていないものはおそらく食用ではないのでご注意ください。

使用する豆腐もお高い美味しい豆腐ではなく、スーパーで売られている安い絹豆腐がいいそうです。安物豆腐がトロットロに変化する様を楽しみましょう。絹豆腐はもちろんですが、油揚げもおすすめです。重曹入りのお湯で煮れば湯葉のようにとろけてだし汁とよく絡む絶品料理に変身します。豆腐がお湯に溶け出すので、出汁汁等で味付けすれば豆乳鍋としてもいただけます。

木綿豆腐派のあなたへ

湯豆腐の句

湯豆腐は俳句業界でも大活躍です。いくつかの有名な句に湯豆腐が冬の季語として使用されています。

湯豆腐やいのちのはてのうすあかり

久保田万太郎

これは俳句界の巨匠・久保田万太郎の名句の一つと名高い句です。人生の寂寥感が漂うこの句は作者が逝去する5週間前に読まれたものだそうです。そのことから妻子に先立たれて孤独な晩年を過ごした作者の辞世の句と解釈される事が多いようです。白い豆腐を茹でる湯気の白さ。その白さの向こう側に死後のうすあかりが見えてくるようなこの句は、年齢を重ねた人であればあるほどにその物寂しさが伝わってくるようです。

この久保田万太郎の句の他にも“湯豆腐”という言葉が使われている句がいくつもあります。それぞれに湯豆腐を通したあらゆる情景が表現されています。

湯豆腐や澄める夜は灯も淡きもの

渡辺水巴

湯豆腐の一と間根岸は雨か雪

長谷川かな女

湯豆腐や障子の外の隅田川

吉田冬葉

湯豆腐にうつくしき火の廻りけり

萩原麦草

湯豆腐に箸さだまらず酔ひにけり

片山鶏頭子

湯豆腐やみちのくの妓の泣き黒子

高橋瓢々子

混沌として湯豆腐も終りなり

佐々木有風

湯豆腐や紫檀の筥の夫婦箸

日野草城

湯豆腐や思へばこその口叱言

鈴木真砂女

みなさんも湯豆腐を食べながら句について物思いにふけったり、一句読んでみてはいかがでしょうか。

わたし実は充填豆腐派なんです

すてきなお豆腐